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緩和ケアの概要

「緩和ケア」って何?がん治療のどんな時に必要?ホスピスとの違いは?

目次

  1. がん診断時から「緩和ケア」を受けるべき理由
  2. あなたの望む緩和ケアを受けるには

「緩和ケア」って何?がん治療のどんな時に必要?ホスピスとの違いは?
がん診断時から「緩和ケア」を受けるべき理由

「緩和ケア」とは、生命を脅かす疾患による問題に直面する患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的、心理的、社会的な問題、さらにスピリチュアル(宗教的、哲学的なこころや精神、霊魂、魂)な問題を早期に発見し、的確な評価と処置を行うことによって、 苦痛を予防したり和らげることで、クオリティオブ・ライフ(QOL)(人生の質、生活の質)を改善する行為です。がんだけでなく、がん以外の疾患にも適応されます。

その内容は、がん告知時の患者さんに対する心理的ケアから抗がん剤の副作用に対する予防や対処、がんによる痛みの軽減、さらには安心して治療を受けてもらえるよう患者さんとの間に信頼関係を構築することまで多岐にわたります。緩和ケアは、がんへの攻撃に主眼を置いた手術や抗がん剤治療、放射線治療と並行して受けることができます。また、がんと診断された時から治療を終えるまで、全ての経過に関わるものです。

緩和ケアは主治医や看護師だけが行うものではなく、医療者であれば、誰でもができる行為です。病院などでは、がん治療の一環として「緩和ケアチーム」を設置している医療機関も増えています。これは緩和ケアを専門とする医師や看護師、薬剤師、心理士などさまざまな職種のメンバーから成り、より専門的なケアの提供に力を入れているチームです。

緩和ケアの考え方には次の3つのポイントがあります。

・緩和ケアは最後の手段ではなく、標準治療の1つ
患者さんは「緩和ケア=終末期医療、治療をあきらめた時に行うもの」というイメージを持っていたり、最期の看取りが中心の「ターミナルケア」と混同していたりすることが少なくありません。しかし、それらは全て誤りです。繰り返しになりますが、緩和ケアはがんと診断された時から始めるもので、その有効性は研究からも裏付けられています(がん患者の「生活の質(QOL)」)。厚生労働省もがん対策の重点項目としてがん診断時からの緩和ケアを推奨しています。
緩和ケアは、手術や抗がん剤治療、放射線治療と同様に確かなエビデンスのある標準治療の1つだと覚えておきましょう。

・患者さんやその家族に対して全人的なケアを提供

がん闘病の課題の1つに“痛み”があります。その痛みは物理的なものに限りません。からだと心が互いに関係し合っていることもあります。そのような患者さんの抱える複雑な“痛み”を、緩和ケアでは①身体的、②心理的、③社会的、④スピリチュアル(霊的)の4つの側面から捉えて対応します。これが「トータルペイン(全人的ケア)」の考え方です。

トータルペインの対象者は、患者さん本人だけでなく家族も含まれます。がんの闘病を支える家族の精神的なケアや困りごとに向き合うことは緩和ケアの大切な役割です。患者さんだけでなく家族も、主治医や看護師、そのほかの医療者に相談してよいのです。がん相談支援センター(治療中の相談先)でも家族からの相談に無料で応じています。

・適切な緩和ケアは患者さんの生活の質を高める
適切な緩和ケアを受けることができれば、患者さんの生活の質は改善します。それは単に鎮痛薬などでからだの痛みを和らげることだけではありません。患者さんの価値観を尊重し、本人のやりたいことを実現するために医療者従事者がサポートすることも緩和ケアに含まれます。病状や病期を問わず全ての患者さんに有効な治療法であり、その人らしい生活を送るための“パートナー”の役割を果たすものなのです。

あなたの望む緩和ケアを受けるには

緩和ケアは、一般病棟や外来、在宅に対応しています。緩和ケアを希望する場合、まずは主治医に相談しましょう。入院・通院している病院に緩和ケアチームがない場合や、主治医に言い出しにくい場合には、病院の相談室や地域のがん相談支援センターに尋ねるといった手もあります。ここでは緩和ケアを利用する場面ごとにポイントを整理します。

<一般病棟の入院中に緩和ケアを受ける場合>
治療のための入院中に緩和ケアを利用する場合には、がんの治療にあたっている主治医や看護師のほか緩和ケアチームから支援を受けることができます。

緩和ケアチームでは、主治医などと連携して患者さんの心身の苦痛を和らげ治療の環境を整えることを目指します。緩和ケアのスタッフは、主治医に直接言えない悩みを患者さんから聞き、双方の間を取り持つ橋渡しの役目も担います。

<緩和ケア外来で緩和ケアを受ける場合>
通院治療中や退院後の経過観察の期間に緩和ケアを利用する場合には、緩和ケア外来を受診します。かかりつけの病院に緩和ケア外来がない場合には、別の施設の緩和ケア外来を受診することもできます。

<緩和ケア病棟で緩和ケアを受ける場合>
積極的な治療をそれ以上望まない場合や、心身の苦痛を和らげることを重点的に行う必要があると認められた場合に利用します。主に、終末期の患者さんが対象です。

緩和ケア病棟は一般病棟と違って、面会や就寝、食事などの時間の制約が少なく患者さんのペースで生活できるよう配慮された施設となっています。
緩和ケア病棟には、病院内併設型と緩和ケア病院のような独立型の2つのタイプがあります。いずれも満床のことが多く待機しなければならないこともあります。

施設によって若干異なりますが、本人が自分の病気・病状を理解していること、何らかの苦痛が生じていること、緩和ケア病棟への入院を了承していることなど入院には条件が課されています。さらに希望する病棟のソーシャルワーカーとの面談や緩和ケア医の診察による審査を経て、はじめて予約リストへの登録が可能になります。緩和ケア病棟を希望する場合には早めに手続きや準備を進めるようにしましょう。

ホスピスとは:
ホスピスとは、当初は主に末期の患者さんの全人的苦痛をケアしていこうとする行為や施設のことをいうものでした。ホスピスには宗教家やボランティアなどがメンバーとして参画していることもあります。しかし、現在では、緩和ケアは、末期の患者さんだけに行うものではないため、ホスピスと呼ばずに、緩和ケアや、緩和ケア病棟と呼ぶことが多くなりました。緩和ケア病棟もホスピスも医療やケアの内容や費用に大差はありません。

<自宅で緩和ケアを受ける場合>
患者さんやその家族が病状を理解し希望する場合には、在宅でも病院と同じような緩和ケアを受けることができます。
がんの在宅療法と自宅で受けられる緩和ケアを参照ください

【参考文献】
「世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療」(ダイヤモンド社)
「国立がん研究センターのこころと苦痛の本」(小学館)
国立がん研究センター がん情報サービス「緩和ケア」(外部サイト)
※別ウインドウで開きます

Hatch Healthcare K.K.

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