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各症状への対処

がん治療中に悩まされる「吐き気」はなぜ起こる?効果的な対処法は?

目次

  1. がん治療中の吐き気・嘔吐はなぜ起こるのか
  2. 抗がん剤による吐き気・嘔吐の対処法とは?
  3. 放射線治療による吐き気・嘔吐の対処法とは?
  4. 鎮痛薬や抗うつ薬による吐き気・嘔吐の対処法とは?
  5. 緊張や不安による吐き気・嘔吐の対処法とは?
  6. 今日からできる、日々の工夫とセルフケア方法
  7. 吐き気や嘔吐がある時の食事について
  8. 吐き気を和らげるリラクゼーション法

がん治療中の吐き気・嘔吐の原因と対処法
がん治療中の吐き気・嘔吐はなぜ起こるのか

がん治療中の課題のひとつに吐き気・嘔吐があります。その症状はがん患者さんの40~70%にみられると言われています。がん治療中の吐き気・嘔吐の多くは治療薬の副作用によって起こりますが、そのほかにも便秘など消化管通過障害や精神面が関係していることがあります。また、原因が必ずしも1つではなく複数の要因が関係している場合もあります。
日常生活への支障を最小限に抑えてがんの治療を続けるためには、吐き気と嘔吐をコントロールすることは不可欠です。吐き気や嘔吐が続けば、脱水や栄養失調などを生じたり、気力を奪われたりしかねません。
吐き気・嘔吐によって食事や水分が十分にとれない場合には医師や看護師に相談しましょう。いつ、どんなときに吐き気・嘔吐があったかメモしておき、医師に伝えられるようにすると診察がスムーズです。

抗がん剤による吐き気・嘔吐の対処法とは?

抗がん剤による吐き気・嘔吐は、脳(延髄)の嘔吐中枢や消化管の粘膜を、薬に含まれた成分が刺激することで引き起こされます。
症状は、抗がん剤を投与して数時間内に症状がみられ24時間以内に収まるもの(急性)、24時間後から約1週間程度続くもの(遅発性)、制吐剤を予め使っていても生じるもの(突出性)、過去の吐き気の記憶から催すもの(予期性)の4つに分けられます。

抗がん剤を投与する際は、副作用の吐き気をなるべく抑えられるよう予め制吐剤を使います。症状は治療中の抗がん剤の種類によっても変わるため、高度・中程度・軽度・最小度の4つに分類し、それぞれに応じた制吐剤を使います。

この場合に使われる主な制吐剤としては、NK1受容体拮抗薬,5-HT3受容体拮抗薬,デキサメタゾン(ステロイド薬)の3種類あり、これらを患者さんの状態に合わせて選択します。その際、他の治療薬との薬物相互作用についても考慮しながら処方を調節します。

吐き気は早い段階の方がコントロールしやすいと言われています。治療中に吐き気が起こりやすい期間には、制吐剤を常に持ち歩き早めに対処できるようにしておくと安心です。
制吐剤の使用で気になることやからだの変調がみられる場合には、医師や看護師、薬剤師に申し出るといいでしょう。

放射線治療による吐き気・嘔吐の対処法とは?

放射線治療を行った場合にも、治療後に吐き気や嘔吐の症状が出ることがあります。照射部の大きさや照射部位と関係があり、部位では腹部(消化器)と脳、また、全身照射した際に症状が出やすいことが報告されています。症状は数日から10日前後で収まることがほとんどです。
放射線治療においても、吐き気・嘔吐のリスクが高い場合には、制吐剤を使って予防・緩和します。

鎮痛薬や抗うつ薬による吐き気・嘔吐の対処法とは?

痛みを和らげるために使うオピオイド(※1)によって、吐き気が起こることがあります。服用を始めてすぐの頃や、薬の量を増やした時に吐き気が起こりやすく、ほとんどの場合、1~2週間程度で収まります。これを予防するために制吐剤を併用します。
抗うつ薬では、飲み始めにあらわれることがありますが、時間が経つにつれて徐々に症状は治まります。

※1:オピオイドとは神経系の司令塔にあたる脳や脊髄に作用して痛みを抑える薬の総称。オピオイド鎮痛薬とも言います。

緊張や不安による吐き気・嘔吐の対処法とは?

緊張や不安など心理的な要因から吐き気や嘔吐の症状が出ることがあります。
抗がん剤治療を受けた患者さんでは、治療が終わってからも治療を思い出したり想像したりするだけで吐き気を感じることがあります。このような場合には、行動療法を試みたり、心やからだをリラックスさせるために抗不安薬が処方されたりすることがあります。また、後述するリラクセーション法も効果的です。

今日からできる、日々の工夫とセルフケア方法

原因がわかっていても、吐き気や嘔吐が何日も続くのはつらいことです。制吐薬を使ってできる限り症状を抑えていきますが、そのほかに日常生活で工夫できることや吐き気や嘔吐に対するセルフケア法、家族や周囲の関わり方について紹介します。

<生活環境の工夫>
芳香剤や衣料柔軟剤など身の回りにあるにおいで吐き気・嘔吐を引き起こすことがあります。患者さんの周りに、においの強いものが置かれていないかチェックしてみてください。また、窓を開けて定期的に空気を入れ替えるのも有効です。

<姿勢や服装の工夫>
クッションなどを用いてからだを起こすなど、患者さん自身が楽だと感じる姿勢を取ります。からだが締め付けられると嘔吐・吐き気が起きやすくなるので、衣類はゆったりとしたものを選び、お腹の周りを圧迫しないようにするといいでしょう。

<うがい・口腔(こうくう)ケア>
口内を清潔に保つことは合併症などを引き起こさないためにも大切ですが、うがいや歯みがきで吐き気を感じることもあります。そういう時には、少量の冷水などで数回にわけてのうがいを試してみてください。口の中が気持ち悪い感じがする場合には、レモン水や炭酸水、氷水でうがいするとさっぱりします。できるようであれば、歯みがきをしてみましょう。ただし、口腔内の粘膜が脆弱になっていたり、傷があったりすると、レモン水やアルコール入りの含嗽剤が刺激になることがあります。そのような場合は、氷水でうがいをするとしみることなく、口の中がさっぱりします。

<便秘が続いている時>
便秘が吐き気や嘔吐に関係していることがあります。便秘が続いていたり、便秘気味の場合には、医師や薬剤師、看護師に相談した上で、からだを動かしたり、お腹をマッサージしたり、水分をとったりして便秘解消を図りましょう。下剤を使うこともあります。

<嘔吐の際の姿勢の工夫>
嘔吐の際は誤嚥(ごえん)を防ぐため、横向きになりましょう。それが難しい場合には、顔だけでも横に向けます。からだを「く」の字にし、ひざを軽く曲げると楽です。両脚の間やひざの裏にクッションや枕を入れるとより楽になることもあります。

<家族や周りの人の関わり方>
症状がある時は、やさしく背中をさすったり、ゆっくりと声をかけたりして見守ってあげましょう。また、口の中を清潔に、さっぱりしてもらうために氷水を準備してあげるのもよいでしょう。診断時に症状を伝えやすくするために、いつ、どんな時に吐き気・嘔吐があったのか患者さんの代わりにメモをとってあげるのもよいでしょう。

吐き気や嘔吐がある時の食事について

吐き気や嘔吐がある時には食欲が落ちるのは当然です。「頑張って食べよう」と無理をせず、体調に合わせて様子をみるようにしましょう。

胃の中に食べ物が残っていると吐き気や嘔吐が起こりやすくなるため、消化のよいものを選ぶのがお勧めです。食べる量も少量ずつ小分けにし、数回に分けて食べると消化の負担が減ります。
味やにおいの強いものはさらに吐き気を引き起こす要因となります。薄味で、においの刺激が少ないものをとりましょう。調理の際には、温かいものほどにおいを感じやすいため、湯気の出ないくらいの温度に冷ましてから食べるのもお勧めです。
水分の多い果物(スイカ、みかん、りんご、なしなど)や、プリン、シャーベット、ゼリーなどは食べやすいようです。アイスクリームは、高カロリーで冷たく食べやすいようです。また、栄養補助飲料や食品が沢山出ていますので、医師や看護師、栄養士に相談してみるとよいでしょう。

それでも吐き気が強く食事ごとに吐いてしまうような場合は、1、2食抜いても構いません。患者さんによっては、吐き気や嘔吐がある時には無理して食べない方がよい場合もありますので、必要に応じて医師や看護師に相談すると安心です。

<家族や周りの人の関わり方>
食欲が落ちるとご家族としては心配になると思います。ご本人のことを考え色々なものを作ったり、準備したりされることと思います。症状には波があり、食べられると思って準備をしてもその時になると食べられなくなることも少なくありません。近くにいるからこそ食べて欲しいという気持ちが強くなることもありますが、ご本人のペースで食べることができるよう見守ってあげましょう。

吐き気を和らげるリラクゼーション法

心理的な要因から吐き気や嘔吐がある場合には、リラクゼーション法を取り入れることで和らぐことがあります。自宅で簡単にできるのが「筋弛緩法」や「呼吸法」です。1回でも構いませんが、毎日の習慣として取り入れるとより効果的。体調をみながら、できる範囲で試してみてはいかがでしょうか。

<筋弛緩法のやり方>
※姿勢は横になっていても、座っていても、立っていても構いません。

①    まずは軽く右手でこぶしを作ります。
②次にこぶしを強く握りしめて右手に意識を向け、こぶしの筋肉が緊張してこわばっている感じを味わいます(3~4呼吸)。
③緊張を十分に感じたられたら、それまで入れていた力を緩めましょう。
④緊張がほどけていく感覚に注意を向けて、リラックスした状態をしばらく味わいます。
⑤同じように左手もします。
⑥からだの各部分についてそれぞれ2~3回ずつ行っていきます。
例) こぶし→肩→首筋→背中→顔(目、口)、お腹→肛門→ふくらはぎ→足の甲
患者さん自身が気持ちがよいと思う部位だけやってみるのでもよいでしょう。

このほかに「呼吸法」を使って気持ちを落ち着かせる方法もあります。具体的な、呼吸法のやり方については、「がんによる心の痛みに対するセルフケア」で紹介しています。

【参考文献】
「国立がん研究センターのこころと苦痛の本」(小学館)
国立がん研究センターウェブサイト「がん情報サービス」(外部サイト)
※別ウインドウで開きます

Hatch Healthcare K.K.

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