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緩和ケアの概要

がんの在宅療養と自宅で受けられる緩和ケア

目次

  1. 自宅での療養を支える仕組みについて
  2. がん患者さんの「介護保険」活用法
  3. がん療養に利用できる介護保険サービスの例

がんの在宅療養と自宅で受けられる緩和ケア
自宅での療養を支える仕組みについて

がんになっても、病院ではなく自宅で療養したいと思う患者さんも少なくないでしょう。がんの在宅医療では、訪問診療と往診、訪問看護を組み合わせることで医療ケアのかなりの領域をカバーできます。事前に体制を整える必要はありますが、在宅でも専門的な疼痛(痛み)管理や緩和ケアを受けられるので安心してください。住み慣れた自宅での療養を希望する場合、まずは、医師や看護師、院内のがん相談支援センターや相談室に相談してみましょう。

・在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院
在宅医療の中心的な役割を果たすのは在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院です。患者さんや家族からの連絡に365日24時間体制で対応しています。他の医療機関や訪問看護ステーション、ケアマネージャー(介護保険制度に基づいて、ケアマネジメントを行う介護支専門員のこと)などとも連携し、患者さんの療養生活を支えます。担当の在宅医が事前計画に沿った訪問診療を行うほか緊急時の往診にも対応していますくれます。

あなたの自宅近くの在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院を探したい時は、「会員リスト」(全国在宅療養支援医協会)(外部サイト)から調べられます。

・訪問看護ステーション
訪問看護の看護師の派遣などを行うのが訪問看護ステーションです。看護師が自宅に訪問して、健康状態のチェックや点滴やドレーンの管理、痰の吸引、傷や床ずれの処置といった医療に関するケア、また、患者さんやご家族の不安や悩みを一緒に考え・支えるなど、医療と療養生活に関するケアを担当します。

あなたの自宅近くの訪問看護ステーションは「介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム」(厚生労働省)(外部サイト)から、居住する都道府県を選んだ後、調べることができます。また、かかりつけの「がん相談支援センター」や「緩和ケアセンター」、「相談室」などで随時相談を受け付けています。

・その他
在宅療養中に利用できるさまざまな医療介護サービスがあります。必要に応じて、デイサービス(通所施設)や短期入所施設の利用や、レスパレイト入院(家族などの介護の負担軽減を図るため、あるいは介護ができない用事ができた際に、病院や施設に一時的に入院すること)などを検討するのもよいでしょう。
 

がん患者さんの「介護保険」活用法

在宅療養の経済的負担を減らす仕組みの1つに介護保険制度があります。制度の対象となるのは(1)65歳以上の人、あるいは(2)40~64歳の人で、医師から「末期がん」と診断された人です。保険の対象者になると、医療用ベッドや車いすなど福祉用具の貸与、訪問介護や訪問入浴などといった介護サービスを1~3割の自己負担で利用できます。

・介護保険の申請から利用までの流れ
介護保険を利用するには、原則として患者さん本人か家族が市町村の介護窓口へ申し出る必要がありますが、地域包括支援センターや指定居宅介護支援事業者に代行してもらうこともできます。

申請が受理されると、後日、担当職員による聞き取り調査が行われます。調査項目は全国共通で日常生活自立度や認知機能などチェックします。その調査結果とかかりつけ医(主治医)の意見書などを基に審査が行われ、「非該当(自立)」「要支援1・2」「要介護1~5」のいずれかが認定されます。申請から認定結果の通知は30日以内に行われます。

次に、どのような介護サービスを利用するか居宅介護支援事業者に所属するケアマネジャーと一緒に計画(ケアプラン)を立てていきます。そして、患者さんやその家族、医療関係者、介護関係者にケアプランを共有した後に、実際にサービスを利用できるようになります。

 
(国立がん研究センター がん情報サービスHP「療養生活を支える仕組みを知る」資料を元に作成)

がん療養に利用できる介護保険サービスの例

ここではがんの在宅療養で利用されることの多いサービスを中心にまとめます。

<訪問サービス>
・訪問介護(ホームヘルプ)
有資格のホームヘルパーが訪問して、身の回りの世話や家事などを手伝います。
・訪問入浴介護
入浴介助スタッフが患者さんの入浴をお手伝いします。
・訪問看護
訪問看護ステーションなどの看護師が、医師の指示に基づいて輸液の管理や、身の回りをお世話します。
・訪問リハビリテーション
理学療法士・作業療法士などが自宅に訪問して、歩行訓練や寝たきり予防の指導などを行います。
・居宅療養管理指導
医師や歯科医師、薬剤師、栄養士、歯科衛生士が、在宅での診療や服薬指導、食事や口腔内のケアなどを指導します。

<その他のサービス>
・福祉用具貸与
車いすや介護用ベッドなど、福祉用具を借りられます。
・特定福祉用具販売
入浴用のいすや腰かけ便座、簡易手すりなど、貸出に不向きな福祉用具について、購入費用の一部が助成されます。
・住宅改修費の支給
手すりの取り付けや、段差の解消、滑りの防止など自宅の改修費用を支給してもらえます(支給金額に上限あり)。

上記以外にも、介護保険サービスで利用できるものとして、通所サービスや、施設入所(短期宿泊するもの)などがあります。詳細は市町村の担当窓口、または地域包括支援センターに問い合わせてみてください。

【参考文献】
「国立がん研究センターのこころと苦痛の本」(小学館)
国立がん研究センターウェブサイト「がん情報サービス」(外部サイト)
※別ウインドウで開きます

Hatch Healthcare K.K.

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