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がん治療に関わる社会保障制度・費用

がんの治療にかかる費用のうち「医療費控除」の対象となるものリスト

目次

    1. 前年納めた税金の一部が戻ってくる制度
    2. 医療費控除の対象となる費用とは
    3. 医療費が年100万なら、いくら戻ってくる?
    4. 確定申告について

がん治療にかかる費用のうち、医療費控除の対象となるもの

前年納めた税金の一部が戻ってくる制度

医療費控除とは、1年間の医療費が1世帯あたり10万円を超えた場合、申告をすることで納めた税金(所得税)の一部が返ってくる仕組みです。

手続きは「確定申告」で行います。会社勤めをしていると、所得税は給与から天引きされているので、税の申告をしたことがない人もいるかもしれませんが、医療費控除の場合は自分で税務署に申告しなければなりません。主婦などの扶養家族に入っている人でも申告することで還付を受けることができます。

申告には、1年間にかかった医療費の情報が必要なので、日頃からレシートや領収書は保管しておくよう心がけましょう。


医療費控除の対象となる費用とは

医療費控除は、自分で買った市販の薬や通院にかかった交通費など、病気の治療のために使われたお金であれば、医療機関への支払い以外の費用も対象となるのが特徴です。対象になるもの、ならないものの具体例は以下のとおりです。

なお、医療費控除と併用はできませんが「セルフメディケーション税制」というものもあります。コンビニやドラッグストアで販売されているOTC医薬品のうち、『セルフメディケーション税制の対象』とされているものについては、年間の購入額が世帯で1万2,000円を超えていれば、セルフメディケーション税制が受けられます。

対象となる医薬品を購入した際のレシートには★マークが記されていますので、レシートを合算してみましょう。その上で、医療費控除の金額とどちらが高いかを比較し、該当する側で申請をすることになります。分からない場合は、相談支援センターなどで聞くと良いでしょう。

医療費控除とセルフメディケーション税制の違いは、国税庁のサイト (外部サイト)でも紹介されています。

《医療費控除の対象になる費用》
● 医師または歯科医師による診療、治療費
● 入院にかかる費用(治療費のほか食事代など)
● 一部の保険診療でない治療費
● 治療に必要な薬(薬局で購入した市販のかぜ薬などを含む)、医師の指示によるビタミン剤など
● 入院、通院のための交通費
● 療養上必要がある場合の入院差額ベッド代
● マッサージ師、鍼灸師、柔道整復師による施術代金
● 医療器具の購入、レンタル料金(人工肛門「ストマ」装具の購入費用、リンパ浮腫用弾性ストッキングの購入費用などを含む)
● 介護保険サービス利用料の一部
● 出産、不妊治療にかかる費用
● 乳房再建(保険適用の診療でない術式によるもの)
● 治療のために必要な遺伝子検査

《医療費控除の対象にならない費用》
● 健康診断、人間ドックの費用(その検査により異常が見つかり、そのまま治療を行えば控除対象)
●予防接種の費用
● 美容目的の外科治療や歯科治療
● 病気予防や健康増進を目的としたビタミン剤やサプリメントなど
● 自動車で通院する場合の駐車場代やガソリン代
● 治療目的以外のマッサージや鍼灸など
● 治療に直接必要のないメガネやコンタクトレンズの代金
● ウイッグや帽子などの費用
● 自己都合による差額ベッド代
『国立がん研究センターのがんとお金の本』(小学館)より

控除の対象になるかどうかわからないときは、近くの税務署に問い合わせてみてください。


医療費が年100万なら、いくら戻ってくる?

医療費控除は、1年間(1月1日から12月31日まで)にかかった10万円以上の医療費が対象になります。生計を一にしている(※1)家族分も合算することができます。計算式は以下のようになります。

※1:「生計を一にしている」とは、「日常で使うお金を共有している状態」のことです。たとえ同居していなくても、地方に暮らす両親から学費や仕送りをもらっている大学生や、子どもに施設費・療養費などの負担をしてもらっている高齢の父母などは「生計を一にしている」と考えることができます。

(年間に支払った医療費の合計金額)―(民間の保険金や健康保険の高額医療などで補てんされる金額)―10万円

たとえば、1年間の医療費の合計が100万円で、民間の保険会社から30万円が補てんされた場合は、

100万円―30万円―10万円=60万円

となり、60万円が控除の対象となります。

この金額に、所得に応じた所得税率を掛け合わせた金額が戻ってくることになります。たとえば年収が500万円の人の所得税率は20%なので、

60万円×0.2=12万円

が戻ってきます。

がんの治療にかかる費用のうち「医療費控除」の対象となるものリスト

※控除額は最高200万円まで

所得に応じた課税率については「所得税の税率(国税庁) (外部サイト)」で確認できます。

この計算には例外があり、総所得が200万円未満の人については、実際に支払った医療費から差し引くのが、10万円ではなく「総所得の5%の金額」になります。

また、個人が納める税金には所得税のほかに住民税がありますが、医療費控除を行うと住民税の課税対象となる所得が小さくなるので、翌年の住民税が抑えられるという効果もあります。なお、住民税の税率は所得に関係なく一律に10%です。


確定申告について

医療費控除を受けるための確定申告は、原則毎年2月16日から3月15日までです。過去にさかのぼって、5年以内であれば申告をすることができます。

申告は最寄りの税務署で行いますが、国税庁ホームページの「確定申告書類作成コーナー」を利用する人も増えています。このシステムを使えば、パソコンで必要な箇所に記入するだけで自動的に税額が計算でき、そのまま申告できます。

レシートや領収書類は申告時に提出する必要はありませんが、申告から5年間は「証拠」として提示や提出を求められる場合がありますので、大切に保管しておきましょう。

確定申告書類作成コーナーについては「確定申告書等作成コーナー(国税庁)(外部サイト)」で確認できます。

Hatch Healthcare K.K.

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