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がん診断後の過ごし方

がんの「診断を知ること」と「インフォームドコンセント」「シェアード・デシジョン・メイキング」

目次

  1. 正しい情報を知ることは治療の第一歩
  2. 「シェアード・デシジョン・メイキングに基づいたインフォームドコンセント」の重要性  

がんの「診断を知ること」と「インフォームドコンセント」「シェアード・デシジョン・メイキング」
正しい情報を知ることは治療の第一歩

十数年前まで日本では、患者さんに対しては「がんについて告知しないこと」が当たり前でした。本人には隠して家族だけを診察室に呼んで、家族だけに告げることも少なくありませんでした。しかし、本人にがんであることを告げずに治療すると、本人が治療の重要性を理解できず、そのため検査や治療を拒否してしまうなどということも起こりました。その結果、十分な治療を行うことができないということがありました。また、家族が、治療に反対して、本人の意向も聞かずに、治療をしないことになってしまうこともありました。

これは本人にとってよいことではありません。本人は、本当のことを知ったら、治療を受けたかったかもしれません。また、逆に本当のことを知ったら、治療を受けない選択をしたかもしれません。がんの診断を告げられることは、本人にも家族にもつらいことではありますが、正しく、最善の治療の選択をするためにも、正しい情報を知っていただくことは大切なことと思います。

子供さんががんになった場合、診断を伝えることは難しいことですが、子供だからといって、むやみに隠したりするのではなく、わかりやすく、嘘をつかず正確に伝えることは大切なことです。子供さんの意思を尊重しながら、わかりやすく説明しながら、病気に立ち向かう力をうまく引き出し、納得して治療ができるようにするのがよいと思います。

検査を受けたあと、結果と診断を聞くことになりますが、その際はできれば配偶者や子、親などの家族や信頼できる人と一緒に聞くことをお勧めします。がんであることを告げられると、普段は「一人でも大丈夫」と思っている人でも、ショックのあまり大事なことを聞き逃すことがあります。本人に余裕がないのは当然のことなので、同席者にはできればメモを取ってもらうといいでしょう。

また、場合によっては、医師の説明を録音させてもらうとよいです。患者さんは、「がん」と聞いた後に、頭が真っ白になってしまい、その後の説明をほとんど覚えていないという患者さんが半分くらいいると言われていますので、こうした工夫が必要です。   

「シェアード・デシジョン・メイキングに基づいたインフォームドコンセント」の重要性  

医師と患者が十分にコミュニケーションを取り、医師が提案する治療について患者が納得した上で同意することを「インフォームドコンセント(説明と同意)」といいます。
インフォームドコンセントが日本で導入されて久しいのですが、未だに「医師の説明がわかりにくい」「選択肢を示されて、選びなさいと言われたけど、どちらがよいのか、選べない」などという話をよく聞きます。

医師から一方的に選択肢を上げて説明されて、どれにするか選べ、と言われても困惑する患者さんも多いと思います。
最近では、医学界でも、「シェアード・デシジョン・メイキングに基づいたインフォームドコンセント」の重要性が示されています。

「シェアード・デシジョン・メイキング」というのは、医師と患者さんが、情報を共有しながら、一緒になり、治療方針を考えていくというものです。病気に対する考え方、治療に対する考え方は、個人個人違うものですから、患者さん個人に合わせた情報提供をしながら、一緒に考えていくというインフォームドコンセントは理想とも言えるものですので、是非このような形で、治療を決めることができるとよいと思います。

「シェアード・デシジョン・メイキング」をうまく進めていくためには、医師とうまくコミュニケーションを取ることが大切です。医師には質問しにくいものですが、質問を紙に書いてきたり、前述したように会話を録音させてもらったりすることは大切と思います。

また、納得できないことや疑問点が残った場合には、セカンドオピニオンを取ることもできます。その場合には、その時でも後日でも構いませんので、医師にセカンドオピニオンを取りたい旨を伝え、紹介状を書いてもらいましょう。

また、医師以外の相談先として、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、患者会、患者支援団体などや、がん拠点病院などのがん相談支援センターなどに相談するのも良いと思います。

【参考文献】
「担当医としてこのように答えたい がん患者・家族からの質問」(へるす出版)
小児がんの解説「子どもへの説明」国立がんセンター小児がん情報サービス納得のいく治療を選ぶために〜シェアード・ディシジョンメイキング〜勝俣 範之(日本臨床腫瘍学会学術集会2019年)
 

Hatch Healthcare K.K.

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