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がん治療に関わる社会保障制度・費用

自営業のためのがん治療を支える社会保障

目次

    1. 仕事を継続するためにすることは?
    2. 治療費は高額療養費制度の活用を
    3. 医療費や生活費を補助するその他の制度

自営業のためのがん治療を支える社会保障

仕事を継続するためにすることは?

会社員なら、がん治療で休職している間、同じ部署の誰かが業務を代わってくれたりフォローしてくれたりするかもしれません。でも、自営業(個人事業主)の場合は、あなたの仕事をフォローしてくれたり、代わりにしてくれたりする人を自分で探す必要があります。

こうした調整を行うためにもまず、あなた自身が今後の治療スケジュールを把握しておくことが重要です。 

医師に相談して、「入院や手術、抗がん剤治療などで仕事ができない期間」がどれくらいあるのか先の見通しを確認し、場合によっては病室での仕事が可能かなども質問し準備しておく必要があります。
手術や抗がん剤治療の影響で、体が動かしにくくなるなどの後遺症がおきることもありますので、その可能性についても確認しておきましょう。

その上で、仕事にどんな支障がでるのかを予測し、どのような方法で仕事を継続するのかを含め、段取りを検討すると良いでしょう。

これらを確認した上で残念ながら事業の継続が難しいと判断した場合には、休業、代替わり(事業継承)、廃業といった選択肢も視野に入れておく必要があります。

以前のように力仕事ができないのでは?抗がん剤治療の副作用で味覚障害が出るのでは?など心配はつきません。どんな心配ごとや不安があるのか、いったんすべてを書き出してみて、ひとつずつ対処法を考えていきましょう。医師やソーシャルワーカー、がん相談支援センター、患者会など相談窓口はいくつもあります。自分ひとりで抱え込まず、まずは話を聞いてもらいましょう。

相談窓口については「がんによる不安との向き合い方」 の記事も参照ください。 

やむを得ない場合は閉店や廃業を考えなければならないこともあるかもしれません。そのときは自治体や司法書士会、弁護士会や商工会議所などへ相談してみてください。 


治療費は高額療養費制度の活用を

がんの治療は長期になる可能性があるため、経済的不安も付きまといます。

 そこで活用したいのが「高額療養費制度」 です。

高額療養費制度とは、医療費の家計負担が重くならないように、医療機関や薬局の窓口で支払う1ヶ月(毎月1日から末日まで)の医療費が限度額を超えた場合、超えた額が国から支給されるという制度です。自分で支払わなければならない自己負担額は、年齢や所得に応じて変わりますが、70歳未満で一般的な年収(370万~770万円)の人であれば、おおよそ1ヶ月8万円ほどに抑えることができます。  

高額療養費制度は、一旦医療機関からの請求額を全額支払ったのち、自己負担限度額を超えた分が戻ってくるという仕組みですが、70歳未満の人(70歳以上の一部の方を含む)は、支払窓口での治療費の支払いを自己負担限度額内ですませることができる「限度額適用認定証」を取得することができます。これは申告する必要があるので、忘れずに取得しておきましょう。

自営業者の多くが加入している国民健康保険の場合、各自治体の保険窓口で手続きできます。

医療費の支払いが難しい場合、自治体によっては国民健康保険加入者も高額療養費の貸付制度や、受任払い制度などが利用できる場合があります。

受任払い制度とは、医療機関への支払いが困難な場合に、国民健康保険から直接医療機関へ支払うことにより、申請者の一時的な金銭負担を軽減するための制度です。

詳細は、自治体の国民健康保険の窓口で確認できます。 


医療費や生活費を補助するその他の制度

病気やケガで仕事ができない場合、給与の一部を支給してくれる傷病手当金ですが、自営業者の多くが加入する国民健康保険では、傷病手当金について任意給付制度をとっており、市区町村から傷病手当金が支給された実績はほとんどありません。

しかし、新型コロナウイルス感染症の陽性者(雇われている人に限る)のように基準が見直されることもあるので、念のため、自治体の国民健康保険担当部署や国民健康保険組合に確認してみてもいいかもしれません。  

そのほかに、医療費を補助する制度としては、確定申告時の医療費控除制度 があります。毎年の確定申告時に、家族全員の医療費が限度額(現在は年間10万円)を超えた医療費について、所得から控除され、税金の一部が還付される制度です。

各自治体の経済課や商工会議所などで、独自に緊急融資制度や借入金返済救済制度を持っている場合もあるので、担当窓口に問い合わせてみましょう。

がん治療で生活に困ったとき、支えてくれる公的制度」 の記事も参照してください。
 
経済的な不安を解消し、家計を立て直すために何をすればいいかは、ファイナンシャルプランナーに相談することもできます。ファイナンシャルプランナーによって得意分野は違いますので、日本FP協会のホームページ(外部サイト)などで、自分の相談したい内容を得意とするファイナンシャルプランナーを探すことをお勧めします。

 【参考文献】
国立がん研究センターがん情報サービス「自営業者向けのQ&A(抜粋)」 (外部サイト)
FPが教える家計再建のポイント[PDF] (外部サイト)
※別ウインドウで開きます

Hatch Healthcare K.K.

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