がんについて知る

がん診断後の過ごし方

がんと診断されてから治療開始までに行うこと

目次

  1. まずは現状を理解する
  2. 治療費や生活費はどうする?
  3. 仕事に関すること
  4. 必要な申請や手続き
  5. 入院時に持参するもの


まずは現状を理解する

がんと診断されてから治療を開始するまでには、おおよそ1週間から6週間の時間がかかります。この間にやっておくべきことを整理しておきましょう。 多くの人に共通するのは、下記のような項目です。
①自分の病状を理解し、治療スケジュールを把握する
②治療費や生活費の見通しを立てる
③仕事に関すること
④各種申請や手続きを行う
⑤入院時に持参するものを準備する

順を追って、確認していきましょう。

まず、「自分の病状を理解(がんの「診断を知ること」と「インフォームドコンセント」「シェアードディシジョンメイキング」がんによる不安との向き合い方がんに関する情報の集め方と注意点の記事も参照してください)し、治療スケジュールを把握する」ことが最優先です。疑問点を書き出して医師に相談したり、場合によってはセカンドオピニオン(がん患者のセカンドオピニオン)を取ることも必要になります。

そして、医師と相談の上、治療法を決めたら、おおよその治療スケジュールを教えてもらいましょう。医師には聞きづらい内容は、まず「がん相談支援センター」などの相談窓口で相談するのがよいと思います。

治療費や生活費はどうする?

がんになった場合に、治療とともに多くの人が心配になるのは経済的なことではないでしょうか。仕事は続けられるのか、治療費(出費は治療費だけじゃない。がんの治療にかかる費用はどれくらい?)は払えるのか、生活費はもつのか、などさまざまな心配があります。

そこで、お金についての心配事も書き出して、メモしておきましょう。「がん相談支援センター」や各病院の医療ソーシャルワーカーなどに相談することもできますので、ひとりで悩まずに相談してみることをお勧めします。

さらに、下記のようなことについて、確認しておきましょう。
①加入している医療保険やがん保険ではどのような保障が受けられるか確認する
②貯金残高を把握する
③会社を休業した場合の保障があるかを確認する
④健康保険組合、国民健康保険などの規定を確認する
⑤高額療養費制度(がん治療にかかる費用を抑えられる「高額医療費制度」とは)、障害年金など、公的保障(がん治療で生活に困ったとき、支えてくれる公的制度)

仕事に関すること

多くの人にとっては、現在の仕事を続けられるかが大きな問題になるでしょう。従来はがんになったら退職して治療に専念する人が多く見られましたが、入院せずに通院で治療できるケースが増えたために、今やがんは短期間の休職・休業はあっても通院しながら治療ができる病気です。退職せずに仕事と治療の両立(がんの治療と仕事を両立するためにはどうすればいい?)が考えられます。

そのためにまず、仕事を続けられるように医師とも相談し、がんの治療は入院が必要なのか、入院するとしたら、どれくらい入院になるのか、退院した後にも通院での放射線治療や抗がん剤などの治療が必要なのか、また、それらの治療は通院でも可能なのか、その期間はどれくらいになるのか、などのことをあらかじめ聞いておいて、今後のスケジュールを計画することが大切です。

また、治療期間の仕事を補完するために、引き継ぎできることは引き継いでおきたいものです。

休職は、法律で認められた権利ではないので、会社の就業規則などを確認した上で、会社や上司と十分に話し合い、きちんと理解してもらって良好な関係を築いて治療に望みましょう。なお、あなたの意思に反して会社から退職を勧められたりした場合には、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどの相談窓口に相談してみましょう。公的な社会保障制度(がん治療で生活に困ったとき、支えてくれる公的制度)なども忘れずに確認を。

自営業(個人事業主)の場合には、ピンチヒッターをお願いできる人を探しておくことも大切です。

必要な申請や手続き

日本ではどんな便利な行政サービスも自己申告しないと受けることができません。高額で長期にわたることも多いがんの治療では、「高額療養費制度」や「限度額適用認定証」(がん治療にかかる費用を抑えられる「高額医療費制度」とは)はぜひ活用しましょう。また、「傷病手当金」(がん治療で生活に困ったとき、支えてくれる公的制度)、障害年金(がんにかかったら「障害年金」「老齢年金」「国民年金」もチェックしよう)についても調べておくことをお勧めします。

入院時に持参するもの

入院が決まると、病院から「準備するもの」などのリスト(パジャマやタオルなど)が渡されます。実際の入院日は、数日前に電話で「何日の何時に来院ください」と連絡が来るまで確定しないこともあり、直前に決まることも多いので、余裕を持って荷物の準備をしておくことをお勧めします。

また、入院する際には多くの場合「身元保証人」の署名捺印が必要になります。近所に親戚や知り合いがいれば簡単ですが、離れている場合にはやり取りにも時間がかかるので、予め用意しておきましょう。親戚や知り合いに頼みづらいという場合には、身元保証サポートのサービスなどを利用することも考えましょう。

【参考文献】
国立がん研究センターがん情報サービス(外部サイト)
国立がん研究センター中央病院(外部サイト)
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監修者
勝俣 範之
医師・がん薬物療法専門医 日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科 教授

1963年山梨県富士吉田市生まれ。1988年富山医科薬科大学医学部卒業後、徳洲会病院で内科研修、国立がんセンター(現:国立がん研究センター中央病院)で、レジデント、チーフレジデント、内科スタッフ、医長を歴任。腫瘍内科学の推進、啓発、教育に従事。研究面では、婦人科がん、乳がんの薬物療法の開発、臨床試験に携わる。2011年10月より、20年間務めた国立がん研究センター中央病院を退職し、日本医科大学武蔵小杉病院で、腫瘍内科を立ち上げた。診療・教育・研究の他、がんサバイバー支援にも積極的に取り組んでいて、正しいがん情報の普及を目指して、ブログ、ツイッター、フェイスブックを通し、情報発信している。近著に「医療否定本の嘘」(扶桑社刊)、「世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療」(ダイヤモンド社刊)がある。 所属学会:日本臨床腫瘍学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本内科学会、American Society of Clinical Oncology