※本記事は、患者さんの体験談であるため、具体的な病状や治療法なども出てきますが、あくまでも個人の例であり、病状や治療効果は、個人差があります。すべての患者さんへ適応できる状況、効果を示すものではないことを了承ください。
予約が取れたことに、主治医も驚いた。目的を明確にして臨んだセカンドオピニオン
実は、1回目の手術後に主治医からは「今までの患者さんでこの状態で見つかって追加手術になったケースはない」と聞いていました。
それだけに、追加手術が必要と告げられたときの衝撃は大きく、セカンドオピニオンへと動き出すエネルギーも私としては相当なものでした。
実際に、地元の総合病院の主治医からは、セカンドオピニオン外来の予約が取れたこと自体に驚かれたのを覚えています。
私の希望した病院は、多くの患者さんが予約自体に大変苦労すると聞いていたそうです。もちろん、予約の取りやすさは時期や状況で異なるため、私のケースがそのまま当てはまるとは限りません。
仕事柄、病気や治療に関する知識はある程度持っていましたが、それ以上に、セカンドオピニオンで何を確認したいのかという目的をはっきりさせていたことが大きかったのかな、と思います。
自分の現状や今後の治療の流れを整理したうえで、相談したい内容を明確に伝えることができたのがよかったのかもしれませんね。
そして2025年10月の頭に、希望していた病院のセカンドオピニオン外来を受診しました。勧められた治療は地元の総合病院と同じものでした。
心の中では「胃の切除は不要です」と言われることをほんの少しだけ期待していただけに、少なからず落ち込みました。しかしすぐに気持ちを切り替えて、セカンドオピニオン外来の医師に転院を希望していることを伝えました。するとその日のうちにいくつかの検査を受けることになり、転院がようやく確定しました。
誤解したまま動き出したセカンドオピニオンの申し込みでしたが、結果として自分が望む環境で治療を受けるという目的を果たすことができました。

病気とは闘わない。「人生の深みを増す体験」として受け止める
追加手術が必要とわかったとき、「落ち着け」と自分に言い聞かせてきた今までの方法では、どうしても気持ちの整理がつきませんでした。無理にプラスに捉えようとしても、どこか不自然に振る舞っている自分がいました。
そんなとき、師事している方からかけられた言葉が、揺れていた気持ちを落ち着かせてくれました。
「がんを患ったのは、あなたにとって必要な体験です。だから粛々と体験してください」
そのことを「必要な体験」と考えると、良いこと・悪いことといった2軸で判断をしなくて済みました。むしろ私の人生にとって、奥行きや深みを増す体験だからこそ、そして彩を添えてくれるからこそ、「病気と闘わない」と思考が大きく変化したことを思い出します。
私が尊敬する方の言葉で気持ちが落ち着いたことは、家族への接し方にも影響しました。私自身が浮き足立っていなかったからか、妻も不安を抱えていたはずですが、いつもと変わらず過ごしてくれていたように思います。
病気になったことを「感謝する」とまではさすがに言えませんが、経験させてもらっているのだから「がんは敵ではない」と受け止められるようにはなりました。
こうして気持ちの整理がついた後、2025年10月下旬に入院し、2日後に胃の切除術を受けることになりました。
2回目の入院期間は10日間。がんがある胃の真ん中部分を切除し、入口の噴門(ふんもん・胃と食道のつなぎ目)と出口の幽門(ゆうもん・胃と小腸のつなぎ目)を残せることになりました。
地元の総合病院では幽門を含む2/3の切除が必要と聞いていたので、私の場合はセカンドオピニオンを受けたことで切除する範囲を抑えられ、それも受けてよかったと思う理由の一つになりました。もちろん、切除範囲は病状や病院によって異なるものなので、これは私自身の結果です。いよいよ手術当日、15時ごろに病室を出てから戻ってくるまで5~6時間ほどかかりました。
入院中の10日間も仕事をするつもりでノートパソコンなどを病室に持ち込みましたが、手術の後、実際にパソコンを立ち上げたのは退院前の2日間だけでした。
手術直後はパソコンの電源を入れる気力さえ起こらず、1年以上続けていた日記も書けませんでした。仕事のメールが届いているかもしれないと思っても確認することができず、心配して連絡をくれた姉からの返信にも4日ほどかかりました。
スマートフォンすら手に取るのが億劫になるほど、その時の私は体も気力も消耗していたのだと思います。
「体が痛んでいるのだから、無理をするのはやめよう」――投げやりになったのではなく、仕事やこれまで続けてきた習慣から体を“解放”してあげようと思いました。