※本記事は、患者さんの体験談であるため、具体的な病状や治療法なども出てきますが、あくまでも個人の例であり、病状や治療効果は、個人差があります。すべての患者さんへ適応できる状況、効果を示すものではないことを了承ください。
手術翌日にはスタスタ歩けるように
甲状腺がんと診断されてから約2か月後に手術を受けました。
風邪などをひいて手術が延期になってしまうと困ると思い、入院前の2週間ほどは手洗い・うがいを徹底し、できるだけ他の人に会わないようにして過ごしました。コロナ禍と同じような生活でしたが、コロナ禍の経験が役に立ったな、と感じました。
入院した翌日に手術を受けました。事前に説明を受けていた通り2時間程度で終わり、私としては予想よりずっと大変なことが少ないと感じました。
なかでも一番驚いたのは、痛みの少なさでした。起き上がるときに力を入れないよう注意さえすれば、私はほとんど痛みを感じませんでした。
比較として思い浮かんだのが、子どもを帝王切開で出産したときのことです。帝王切開でお腹を切ったときは傷が痛くて、数日間はトイレに行くために数歩歩くのも大変でした。
それに比べて甲状腺がんの手術では、首にドレーン(血液を創部から抜く管)が5日間ほど付いていたので髪を洗えないなどの不便はありましたが、手術の翌日にはスタスタとトイレに行けるようになって、「えっ、もうこんなに動けるの?」と自分でも拍子抜けするほどでした。
痛みが少なかったことについては、私自身もそう希望していましたし、病院の方針も無理に我慢はせずに痛み止めを使う、というところで揃っていたのがよかったと思います。
病院の環境も私の持っていたイメージを覆してくれました。
がん専門病院ですので重苦しい雰囲気を想像していましたが、病棟は陽当たりが良く、窓からはきれいな景色が見えて、とても開放的でした。他の患者さんたちも驚くほど元気で、入院中もパソコンを叩いてバリバリ仕事をしていた方もいました。
事前にブログなどで調べていた「病院豆知識」も役に立ちました。私が入院した病院ではテレビのタッチパネルで朝食がパンかご飯か選べたり、談話室に給湯設備があったりと、そういった情報を把握していたおかげで、入院生活を落ち着いて過ごせました。
手術の4日後には「こんなに暇でいいのかな」と思えるほど、穏やかな時間を過ごしていました。この「暇だと思える余裕」こそが、回復の証だったのかもしれません。

一時預かりと夫の助けで乗り切った入院生活。子どもは「うん」と言って迎えてくれた
入院中、家族の協力は不可欠でした。
手術当日はお正月の時期だったこともあり、子どもの一時預かりサービスが一部休止していたため、夫が家にいて、手術の付き添いは姉にお願いしました。手術後の入院期間中、夫は仕事の繁忙期でしたが、一時預かりを利用しながら子どもの面倒を見てくれていました。
1歳を過ぎたばかりの子どもと1週間も離れるのは初めてで、入院前は「1週間も会えないなんて大丈夫だろうか」と胸を痛めていました。
ただ、今になって振り返ると「会えない」と想像していた期間が一番寂しくて、実際にはビデオ通話もできてそれほど子どもを恋しく思うことはありませんでした。離れていても繋がっていられるツールがあったことは、闘病中の大きな支えになりましたね。
入院中は普段会えない友達ともビデオ通話をしたり、動画を見たりと、充実した入院生活が送れました。「仕事も家事も育児もせず、自分のためだけに時間がある。こんなに暇でいいのかな」と思えるほどでした。
退院の日、子どもと夫は家で待ってくれていました。
感動の再会を期待していましたが、子どもは「うん」と頷いた感じで意外とあっさりと迎えられました。夫ももともとリアクションが大きなタイプではなく、自然に「おかえり」と言ってくれたので、日常にすっと戻れたと感じました。
退院後の2週間は、義理の母に来てもらい家事のサポートをお願いしました。
体力が落ちていると感じたため、無理をせず、一日おきに子どもを一時預かりにお願いして散歩などに出て、徐々に身体を慣らしていきました。
「手術の傷口に子どもが追突してこないように」とガードするよう注意しましたが、まだ1歳ですのでコントロールが難しくて何回か傷にぶつかられてしまいました。そんなトラブルもありましたが、少しずつ手術前の生活に戻りました。